季節はもう春。新年度であります。2025年モデルは通常、前年末から翌年初頭にかけて発表され、春頃から市場に投入されます。例えば、三菱のエアコンは2025年4月1日から発売されています。いよいよ新型エアコンの市場投入シーズン。
ということで
〜エネルギー効率・実際の暖冷房性能をふまえて〜
新築住宅の計画において、「どんなエアコンを選ぶか」は、快適な暮らしと光熱費を大きく左右する重要な選択です。特に高気密・高断熱住宅が主流となった現代では、従来の「畳数だけで選ぶ」基準では不十分です。実際、エアコンのスペックを正しく読み解けなければ、快適性を損なうばかりか、電気代の無駄や機器寿命の短縮につながることも。
ここでは、専門家の知見と最新データに基づき、新築住宅における“本当に賢いエアコン選び”を徹底解説します。
多くの人が家電量販店で目にする「6畳用」「10畳用」などの表示。この「畳数表示」は、あくまでも目安であり、実は1964年基準の木造平屋(断熱性能の低い住宅)を基準としたものです。
現代の高気密高断熱の家に関しては細かい計算方法はありますが表示畳数の3倍以上の部屋をカバーする建物性能の家がほとんどです。数式を以下に記述しておきますが詳しい計算を希望の方は弊社設計士までお尋ねください。
つまり、現代の高断熱住宅に当てはめると、オーバースペックのエアコンを選びがちで、結果的に「車で言う所の低速運転=非効率」になります。ではなぜ1964年基準についてメディアが取り上げないかというとTVのスポンサーは誰かということを考えると答えは自ずと出て来るのかもしれません。
エアコンの性能には以下の2つがあります:
定格能力:カタログに載っている“理想環境”下での基本性能
最大能力:機種が発揮できる“本来の最大出力”
特に注目すべきは最大暖房能力です。
同じ6畳用でも、上位機種では最大暖房6.3kW、下位機種では4.0kWと大きな差があります。
カタログでは「6畳〜26畳用」など10種類以上の分類が並びますが、実は中身が3種類程度しかないことも。メーカーは価格帯で細分化して見せていますが、性能差は一部のみ。本当に見るべきは以下です:
最大暖房能力
最小消費電力
APF(通年エネルギー効率)
14畳用から登場する200Vエアコンは、同じ容量でも約17.5%向上。効率・性能が格段に上。
モデル | 電圧 | APF(年間効率) |
---|---|---|
14畳用 A機 | 100V | 5.7 |
14畳用 B機 | 200V | 6.7(約17.5%向上) |
200Vは消費電力あたりの出力が高く、長く使うほど電気代に差が出ます。
「余裕を見てできる限り大きめに」は一見正解に見えますが、実は燃費の悪化と快適性の低下を招く危険性が。
設定温度にすぐ到達 → トロトロ運転時間が長い
アイドリング状態=無駄な消費電力
除湿や暖房の安定性が失われる
快適な環境づくりには、住宅性能とライフスタイルに合わせた**「適正な容量設計」**が必須です。
冷房においては、定格能力で足りる場合が多いです。遮光・断熱がしっかりしていれば、スペック通りの冷却が可能です。反対に軒の出のない今流行りのキューブ型住宅は不利になります。
一方、暖房は外気温が下がると性能が低下します。
最大能力は「外気7℃」での数値
実際の冬(0℃〜氷点下)では50〜60%まで低下
寒冷地や寒がりの方は、最大暖房能力が高い上位機種 or 寒冷地モデルを選択しましょう
コスパ・効率・性能バランスを総合的に見ると、
6畳用の上位機種(個室に最適、電力消費も少ない)
14畳用の200V機種(LDK全体にも対応、バランス良し)
がもっとも合理的な選択です。どちらも市場で売れ筋となっており、実績のあるサイズです。したがってお値段もこなれています。8畳用、12畳用などの商品もありますが、性能の高い家ならいわゆる6畳用でも十分。こちらが狙い目ではないでしょうか?
畳数表示は鵜呑みにしない
定格能力ではなく「最大能力」で判断する
冷房は遮蔽・断熱、暖房は最大能力で選ぶ
200V機種は高性能&省エネ性◎
量販店で買う場合は型番指定で購入。畳数を伝えると不利な提案になりやすい
新築住宅は一生の住まい。だからこそ「知識と戦略」が求められます。
設計段階から設計士にアドバイスを求めましょう。
住宅の断熱性能、地域の気温、日射の状況などを逆算して最適なエアコンを選定しましょう。
※ちなみに弊社では、エアコンの提案も設計に織り込んでいますのでご安心いただいております。
おまけ
エアコンの型番に含まれる記号や数字から性能を判断する方法は、メーカーごとに若干異なるものの、基本的なルールは共通しています。以下に、型番の記号や数字から読み取れる性能情報を追記します。
型番内の数字部分が冷暖房能力を示します。これはエアコンの出力を直接表しており、単位は「kW」です。
例: 型番に「22」が含まれる場合 → 出力は2.2kW。
例: 型番に「40」が含まれる場合 → 出力は4.0kW。
メーカーによっても異なりますがアルファベットで製造年を表す記号が含まれています。これにより、エアコンのモデル年度がわかります。
各メーカーでは、型番内の特定のアルファベットが製造年度を表しています。以下は例です:
ダイキン: L=2010年, N=2012年, P=2013年, R=2014年, S=2015年, T=2016年, U=2017年, V=2018年, W=2019年, X=2020年, Y=2021年。
日立: 型番内の「M」は2022年、「N」は2023年を示します。
シャープ: 「P」は2022年、「R」は2023年を示します。
製品ラベルの確認
型番近くに「製造年月」や「20XX年製」といった形式で直接記載されている場合もあります。この情報が一番確実です
型番内の特定のアルファベットがシリーズやグレードを示します。これにより、エアコンの機能や特徴がわかります。
例: 「Rシリーズ」=最上位モデル(多機能)、「Eシリーズ」=廉価モデル。
型番末尾や特定の記号で電圧仕様が示されます。
「S」=100V
「P」=200V
一部の型番には特殊機能を示す記号が含まれます。
例: 「DX」=寒冷地向けモデル、「FX」=お掃除機能付き。
APF(通年エネルギー消費効率)
型番には直接記載されていませんが、省エネ性能を知るためにはカタログや仕様書でAPF値を確認する必要があります。数値が高いほど省エネ性能が優れています。
低温暖房能力
寒冷地で使用する場合は、外気温が低い環境での暖房能力も重要です。これもカタログ等で確認できます。
部屋の広さとの適合性
型番から冷暖房能力を確認し、設置予定の部屋サイズに適しているか確認してください。
型番に含まれる記号や数字を理解することで、エアコンの性能や特徴を効率的に判断できます。不明点がある場合は、メーカー公式サイトやカタログで詳細を確認することがおすすめです。
しかしながら繰り返しますと見るべきところは
カタログでは「6畳〜26畳用」など10種類以上の分類が並びますが、
実は中身は3種類程度しかないことも。メーカーは価格帯で細分化して見せていますが、
性能差は一部のみ。本当に見るべきは以下の項目です:
最大暖房能力
型番内の数字部分が冷暖房能力を示します。これはエアコンの出力を直接表しており、単位は「kW」です。
例: 型番に「22」が含まれる場合 → 出力は2.2kW。
例: 型番に「40」が含まれる場合 → 出力は4.0kW。
最小消費電力
カタログや説明書には「消費電力」や「能力(kW)」が記載されています。
「最小消費電力」は通常、カッコ内に記載されており、例えば「105~1480W」のように最小値から最大値までの範囲が表示されています。
APF(通年エネルギー効率)品番の中には表記されずカタログを参照。 型番には直接記載されていませんが、省エネ性能を知るためにはカタログや仕様書でAPF値を確認する必要があります。数値が高いほど省エネ性能が優れています。
電圧仕様「S」=100V もしくは「P」=200V
型番末尾や特定の記号で電圧仕様が示されます。
「S」=100V
「P」=200V
となります。何が何だか訳がわからないという人(笑)は弊社設計士にお尋ねください。