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長崎さんのひとりごと
monologue
1 居心地=デザインの力
国語辞典によると、居心地とは「ある場所にいる時の感じや気持ち。居心」とあり、これはとてもふわっとした、でも何となく分かる言葉です。
「なんか、このお店って居心地良いよねー」とか「土間やいろりのある昔の家って居心地良くてほっとするね」などなど。とても抽象的な言葉ですが「つかみきれない何か」を感じさせる言葉。しかし、それを感じるヒトだったり、時には動物であったりと、つまり相手が存在しないと居心地も存在しません。
そのよく掴みきれないけれど確かに存在する「居心地」を建築の中に表現することが私たちの仕事(設計)であると考えます。計算では出てこないような人間の生活とか、そこに住まう人の心理と言うものを寸法で表すことなのです。表層のデザイン(何となくカッコイイとか、流行っているからとか)では、長くその場所に存在する建築としては時に安っぽさを感じてしまったり地域の景観を損なってしまったりすることさえあります。
建物に必要な要素として耐震性を含め耐久性や健全であることなどは必須事項であるにして、地域の景観になじみ、住む人の心地良さを備えた住まいをつくりたいと考えます。
2 古びる家
良い家ってどんな家だろうと考えてみると私たちにとっての良い家とは古びる家かな?
漁師町に行くと、潮風にさらされた木の壁が良い具合にシルバーグレーになった家がよくあるけどそんな家かな。ここまで枯れてしまえば、これ以上にもこれ以下にもならない、そんな家。縁側の床もシルバーグレーに焼けて年老いた漁師が網の手入れをしているような家。ピカピカの壁や床ではなく、鈍く光る床や壁。新建材やビニールクロス仕上げの内壁やサイディングの外壁じゃ絶対にこの味は出ないんだよなー。
そう言えば子供の頃から新しいものが苦手でわざと汚したり、着古したものを身に着けていた。あの枯れ具合に愛着を覚えていた。私のつくりたい家は、綺麗に古びる家。古びるというのは、決してピカピカではないけれど、静かーに時を重ねていくもの。そんな家を私たちはつくりたい。
3 高性能ってなんだろう
昔から、仕事にも海行きにも乗っているのは、79年式のステーションワゴン。約30年前の車、走行距離は24万キロ、パワステなし、ましてやエアコンなんて…。しかしながら、公道はもちろん高速も走れます。夏は窓を開けて自然の風を感じて走ります。
ドイツのアウトバーンなどと違って日本の高速道路の制限速度は昔から時速100キロ。30年前の車でも100キロはしっかり出ます。これ以上、性能を上げてどうするの?って感じ。暑ければ窓は手で回して開けます。手があるんだもんいいじゃない。
ETCさえあれば高速も楽々!コンピューターデザインになる前の車っていうのは、モノづくりの心(クラフトマンシップ)にあふれていた時代。生産性やコストを意識し、それをにらみつつも度外視して良いものをつくろうとしていた時代。やっぱり、この頃のものに愛着を持ってしまいます。
毎年モデルチェンジを重ねて快適性や高性能な車を目指している現代。古い車はスクラップ工場行き。高性能ってほんとにどうなんだろう?いつも思います。しっかり手入れして大事に長く乗るというのも大事じゃないのかな?たまにはエアコンを消して窓を開けて自然の風を感じてみませんか?
4 本物の素うどん
家づくりの予算と品質。質素だけれども良質な家。
私たちのお客様は、こだわりのお客様。予算がないからって、中途半端の材料を使う手を抜く。これは絶対にやりたくない!予算は色々あれど、私たちは本物の職人の手でつくった本当のものを出していきたい。うどんに例えるなら「本物の素うどん」予算によってトッピングは変われどスープは全て天然のダシでしっかりとってこだわりの醤油をブレンドして仕上げます。この道一筋の職人が丹精込めてしっかりと麺を打ち、本物の麺とこだわりのスープでつくる本物の素うどん。これが目指すところ。
さて、私たちの1番の売りは展示場と実際に建っている建物が、同じということ!どのお宅もモデルハウスと同じ仕様。もし懐に余裕があれば、太陽光発電付のエビ天うどんでもホームシアター付きの大名御膳でもお出ししましょう。懐に余裕がなくても、御安心ください。最高の素うどんをお出しいたします。本物の職人がつくったうどんと滋味あふれるスープをお楽しみくださいませ。本物の素うどん、実はこれが1番美味しいんですよ。
5 美しき景観運動
今、日本の家はバラバラで心を寄せるに、かなりつらいことになっている。
もう一度、質実に美しい家をつくろう。住んでいて、つい惚れ惚れしたくなるような家をつくろう。
建築という行為は、その大地の植物や生態、周辺環境に対して、少なからず影響を与えるものです。建物は一旦、建ってしまうと良くも悪くも長きに渡り、人々の目にさらされ地域の環境や景観を司る重要な要素となります。
私たちは地域の環境や景観に対し、責任を持たなければなりません。可能な限り環境に負荷をかけず、美しい景観となるような建物を、一輪の花を生けるように丁重につくっていこう。
そしてその建物は、大事に手入れをされながら地域の景観になじみ、年月を経るごとに長く愛される建物となることでしょう。少しずつではあるが、美しい建物をつくり「美しき景観」をつくっていこう。それが私たちの役割なのです。