あかり
今週末、夜のモデルハウス見学会が開催される。
と言うことで【あかり】に関して
昭和の初期においては裸電球、その後蛍光灯、平成令和に至ってはLED変遷である。
戦前において日本は裸電球ちゃぶ台に家族が集まり団欒を過ごしていた。
戦後においては明るいことは正義ということで家の隅々を天井から照らす
UFOのような蛍光照明が幅を効かせ白々した光を振り撒く。
現代においてはLEDダウンライトによる天井照明が幅を効かせているようである。
天井に埋め込むのでスッキリしているのだがどこもここも穴だらけの建築となり
やはり陰影がなくなってしまう。
また昔の照明器具からLEDの照明に変わっていったのだが、性能効率が良いためか
昔と同じ配灯計画で計画すると異様に明るくなっしまう。注意が必要である。
照明といえばやはり北欧が先進国。
北欧建築が好きなのでたまに行くのだが夜の明かりが素晴らしい。
(特にアルバ アアルトの自邸は住宅建築の中でも群を抜く。)
特に冬になると明るくなるのが朝の8時くらい、日が暮れるのは午後3時過ぎ。
陽の光が出るのは一日のうちの1/4。後の3/4は陽が沈んでいる。
外が明るいのはわずかな時間、彼らは長い夜の時間を過ごすことになる。
フィンランドでは仕事も4時には終わり家路を急ぐ。
基本、多灯照明。陽が沈みだすと暗くなる窓辺から明かりを灯していく。
日本みたいに一気にパンと照明を入れるのでは無く。
あかりを「つける」というよりも「灯す」。
一つ一つ明かりを灯していき、最後にダイニングテーブルに明かりを灯していく。
時にはキャンドルで過ごすこともある。その時も一つのキャンドルではなく
いくつものキャンドルを灯すことで明かりを演出していく。
そして薪ストーブやサウナで体を癒し整える。
また夏はひと月休暇を取りサマーコテージで陽の光の中自然を楽しむ。
家での暮らしを楽しむ国民なのであろう。羨ましい。
結果、家具や照明インテリアが世界の中でずば抜けている。
日本の住宅のように天井から照らす穴だらけのダウンはあまり使われない。
照明はブラケットやペンダントなどを多用して天井を照らすというよりも
空間を作り出し包み込む照明。
日本では戦後、暗い=貧しい、寂しい、悲しい という言語解釈がある為か
明るいことは良いことだ、隅々まで明るく照らせという構図なのかもしれない。
暗さの中にも【リッチ】というものが存在する。
例えば一流ホテルのラウンジ。デンマークのSASホテルが筆頭であろう。
アルネ ヤコブセンが建築し家具から照明、カラトリーカーペットまで
全て彼によりデザインされたホテル。
ラウンジにはエッグチェアーやスワンチェアーがずらりと並べられ
それだけでも圧巻であるが照明設計が素晴らしい、訪れるたびにため息が出てしまう。
世界30カ国訪ねてみたがこんなに、隅々が明るい家は日本くらいではなかろうか?
自宅をリノベーションした施工写真 和の空間にポール・ヘニングセンのPH5がよく似合う。
日本も戦前は明かりを慈しむ国民だったはずなのだが、
戦後UFOみたいな円形の蛍光照明がぺたりと天井に張り付くようになってから
大きく変わってしまったのかもしれない。
建築家の宮脇檀によって昭和の終わりに書かれた本であるが
マンションの灯りを見ることで文化度は測れると言って
当時のマンションの明かりのほとんどが煌々と明るく白い明かりだらけと嘆いていた。
さて本題に戻る。
今週末、夜のモデルハウス見学会が開催される。
言うなれば「ナイトライトツアー」である。
我々の照明設計に関しての考え方。
夜でないと体感することができない明るい暗いという感覚。個人差もあるであろう。
各モデルハウスにデジタル照度計も用意している。
ぜひ計測していただいて明るいくらいを自分なりに掴んででいただきたい。
夜になって初めて気づくと思うが、
我々のモデルハウス実はダウンライトはトイレ、洗面などにしか使われていない。
リビングダイニングなどは、壁掛けブラケットやペンダントなどを使っている。
基本、天井に照明は付けていない。美しい天井を意識している。
灯りの設計の参考になるであろう。
ナイトライトツアーとして今後定番化していきたい。
昼間の見学では気づかない家づくりのヒントが隠されている。
PS ちょっとしたアドバイス
もしもリビングにダウンライトを入れる場合、
壁際に配灯するケースはエアコンの位置もしっかり設計に組み込んでおくこと。
下手するとエアコン器具を自慢げに照らすこととなってしまう。時々遭遇する。
せめて壁から1500ミリ以上離すこと。
ペンダントはテーブル面から65センチから70センチを目安に
空間バランスや個人のスペックや感性で決めていく。
皆様のご来場お待ちしております。
ご希望によってぜひ夜みてみたいという方は
「ナイトライトツアー参加希望します」とお問合せください。別日でもご案内いたします。