キューブ型軒ゼロ住宅に関する提言
雨が滝のように降っている、まるで潜水艦のように水の中に潜っているようだ。
と言う事で、軒ゼロキューブ型住宅に関しての提言。
若い人に人気の軒ゼロキューブ型住宅、屋根の軒を無くした四角い家。窓を少なくして外壁面を強調したなんとなくオシャレっぽい家。
そもそも軒とは何かというと、外壁から突き出した屋根の部分のことを言う。
アジアモンスーン地域に属する雨の多い日本において、壁の雨がかりや雨しみや汚れを防ぎ、屋根で受けた雨水を樋で受け、壁を伝うことなく流す。
つまり、軒とは雨による外壁の汚れや紫外線による劣化を防いでくれるもの。夏場の暑い日差しを遮り日陰をつくり、冬は適度な光を取り入れ、夏は涼しく冬暖かく、そのための重要な建築デザインパーツである。
軒ゼロ住宅、一時の流行りや情熱だけで建ててしまって・・・・
正直、若いうちはいいがあの建物から老人がでてきたらびっくりである。
たぶんブームは去っていくだろう。
悲しいかな洋服のように家は着替えることができない。
30年50年と長期に渡って住み続けるには雨仕舞いの問題を抱える。窓周りからの雨水の浸水これが一番多い雨漏りのトラブルのケース。雨が降るたびに恨めしい思いをすることとなる。建ててしまってからは遅いので老婆心ながら後悔のない様に国交省のレポートを添付しておくこととする。
私たちの作る家の軒の出は、一般的な住宅の2倍の長さ90センチ以上となっている。グライダールーフ工法により薄く長い。軒を90センチも出せば外壁が雨に濡れることはほぼない。コストはアップするが長期のメンテと相殺される。
本来、日本の建築は軒の出を深くし大きく窓をしっかりとって日差しや雨を避けつつ景色を愛でる。気候の良い時は大きな窓を開け放ち自然を享受する。これが日本建築の醍醐味。
軒もなく日差しが強く差し込むため、カーテン閉めっぱなしなんて勿体無い。
文明の力に頼らず、設計デザインの力で夏涼しく、冬暖かい家を作る。そのためには日本の昔からある民家を見習うべき。
これをしっかり理解していなければ、いくら断熱性能や気密性にこだわってもあまり意味がない。
本来、デザインとは機能美の中にある。