リフォームとリノベーションに関しての考察
「リフォーム」と「リノベーション」
「リフォーム」と「リノベーション」建築や住宅における改修の手法であるが、明確な定義が存在せずリフォームもリノベーションもごちゃ混ぜになっている。そこで今回はこの課題に焦点を当ててみることにする。本来の意味は英語の「reform」は「悪い状態からの改良」を意味し、「renovation」は「革新、刷新、修復」を意味する。
そもそもこのワード、海外から来たワードである。海外のパタゴニアやスターバックスなど古い建物をリノベーションしたお店が多い。なんだか日本ではリフォームが大きくなったものや、ちよっとおしゃれにしたものと、顧客においても業者においても混同勘違いされている様だが以下に持論を述べることにしよう。
リフォーム、既存の建物を改善して居住者の利便性や快適にすることを主眼とし顧客の要望やニーズに応じて行われる。現在の住まいをより使いやすく、快適にするために行われることが一般的。キッチンやバスルームの改装、配線の更新修繕や改修、古いキッチンをモダンなデザインのものに交換したり、古くなった床材を新しいものに張り替えたり。リフォームの範囲は、一部屋の改修から全体の改修まで様々であり、予算や時間の制約に合わせて計画される。
一方、リノベーションは、建物自体に新たな価値や用途を与えるための大規模な改修を指す。古い建物や歴史的な建築物を保存し、現代のライフスタイルや需要に合わせて建物の外観や内部構造を改修するだけでなく、用途の変更や転用も行われる。
例えば、古い工場を住居やオフィスやレストランに転用したり、歴史的な建物を文化施設に再生したり。この様にリノベーションは、建物の魅力や特徴を活かしながら、新たな使い方やデザインを追求することが特徴。また周囲の景観や環境との調和も重要な要素として考慮される。海外ではこの手法である。
この様に単にプランやデザインの変更にとどまらず、「コンバージョン(用途変更)」という形で建物の骨組みや特徴を活かしながら、現代のライフスタイルやデザインのトレンドに合わせた改修が行われる。そのためには建物の魅力や素材を最大限に活かし、その建築に対してリスペクトを持ちつつ、歴史や環境を読み解いて空間を整えることが重要。また見た目のデザインだけでなく、既存建物の特徴やポテンシャルを引き出し最大限に活かす知識やアイデアが必要。ただ単に古いものを利用するのではなく、その価値を高めながらも暮らしをアップデートするためには、設計力やデザイン力、発想力が求められる。新たな価値の創造である。
両者の違いをまとめると、リフォームは既存の建物を改善して機能や性能の回復を図ることを目的とし、リノベーションは建物の再生や転用によって新たな価値や用途を創造することを目指している。リフォームは建物の劣化や老朽化を防ぎ、居住環境の快適さを維持することに焦点を当てる。一方、リノベーションは建物自体の魅力や特徴を最大限に活かしながら、新たな使い方やデザインを追求する。故に設計力を必要とする。しかしながら、建物の改修を通じて快適で魅力的な空間を提供するという事においては同じである。であるからして混同されやすいのだが・・・・・・
また最近では、持続可能性や環境への配慮が重要視されており、リフォームやリノベーションにおいてもその要素が取り入れられ、その様な観点からも注目されている。古い建物を再利用することで、新たな建築資源の消費を減らし、廃棄物の発生量を削減することを可能とし建物の再利用やエネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの導入などが行われ、環境負荷の低減や廃棄物の削減に貢献している。
如何であろう。