断熱の数値性能を表す計数単位
断熱の数値性能を表す計数単位をいろいろ述べてみる事とする。
【UA値(外皮平均熱貫流率)】
各住宅自体の断熱性能は平均性能値であるU A 値で表 さ れ る 。
UA値(外皮平均熱貫流率)とは住宅の内部から床、外壁 、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる 熱量を外皮全体で平均した値で建物の性能をあらわす。熱貫流率(U値)の平均値。Aは「Average(平均)」の略
ちなみに熱貫流率(U値)とは、建物の断熱材を通して外部 から内部に伝わる熱の量を表す指標で、単位面積あたりの単位時間あたりの熱エネルギーの流れを示す。
長 崎 材 木 店 で は 断 熱 等 級 5( U A 値 で 0 . 6 以 下 )、断 熱 等 級 6( U A 値 で 0 . 4 6 以 下)に対応。また「HEAT20 G2グレード」にも邸別に断熱設計コンサルティングすることにより可能としている。
ちなみに断 熱 等 級 5( U A 値 で 0 . 6 以 下 )、断 熱 等 級 6( U A 値 で 0 . 4 6 以 下)のイメージとしては
UA値が0.6の場合: UA値が0.6の建物は、1時間に1平方メートルあたり0.6ワットの熱が建物の外に逃げていくイメージ
0.60ワットの消費電力をイメージしやすいものとして、USBポートに接続される小さな携帯ファン
UA値が0.46の場合: UA値が0.46の建物は、1時間に1平方メートルあたり0.46ワットの熱が外に逃げるイメージ
0.46ワットの消費電力をイメージしやすいものとして、USBポートに接続されるスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスを充電するために使用される小型の充電器
こうして冷静に身の回りのもので比べてみるとUA値0.6とUA値0.46とその差、0.16というのは意外と小さな違い。どれ程のものであろう。
また断熱材 に関しては「何を使うのか」というよりも各断熱材の特性を踏まえ、機能と性能で個別にコンサルティング提案をしていて【熱伝導率(K値)】を指標とする。
【熱伝導率(K値)】
熱伝導率(K値)は、物質の熱伝導の性質を示す指標。通常、この値は次のように表される
物質が熱エネルギーをどれだけ良く伝えるかを表す物質固有の性質で、単位長さあたりの単位時間(1秒)あ たりに熱エネルギーがどれだけ伝わるかを示す。
:W/(m·K)(ワット/メートル·ケルビン)。この単位は、次のことを意味する。
設定としては1平米の厚み1メートルの材料の熱伝導性能。
この様に、熱伝導率(K値)が低い材料ほど熱を伝えにくく、断熱性能が高いと言える。
また、熱伝導率自体は材料の固有な性質であり、厚みが変わってもK値そのものは変わらない。
1メートル真四角の物質において、両サイドの温度差が1ケルビン(摂氏1度)ある場合、物質を通じてどれだけの熱エネルギーが伝わるかを示す。
このとき、単位時間(1秒)あたりに伝わる熱エネルギーの量を表す。
分かりやすく例えると1メートルの長さの棒(または単位面積)において、熱伝導率が0.05 W/(m·K)の場合。
温度差が1ケルビン(摂氏1度)ならば、1秒あたりに0.05ワットの熱エネルギーが伝わることを意味する。ということでK値は低ければ低いほど伝達する熱量は少なくなる。つまり熱を伝えにくいということである。ちなみに厚みが変わってもK値という数値自体は変わらない。
※0.05ワットの熱エネルギーを分かりやすく例えるならば
小さな懐中電灯(ライト)を持っているとして。その懐中電灯の明かりは、少しだけ光を出すが、部屋全体を明るく照らすほどの強い光ではない。ほんのり暖かさを感じるくらいのもの。この熱エネルギーはそれほどたくさんではない。懐中電灯の灯りを手のひらで軽く触れる程度の暖かさをイメージすると良いだろう。これが0.05ワットの熱エネルギーの大まかな感じ。
※グラスウール <熱伝導率 K値0.038> ※ロックウール <熱伝導率 K値0.05>※セルロースファイバー <熱伝導率 K値0.040> ※押し出し法ポリスチレンフォーム <熱伝導率 K値0.040>※吹きつけ硬質ウレタンフォームA種3 <熱伝導率 K値0.040> ※フェノールフォーム <熱伝導率 K値0.026>
各断熱材の性能を見ると正直、大差はない。フェノールフォーム <熱伝導率 K値0.026>のみ数値は半分だがそもそも外貼り断熱など釘が届くように薄くても性能が出る様な場所に使うのが目的として使われる。
断熱数値を上げたければ厚みを上げた方がコストパフォーマンスに優れる。以下に述べることとする。
次に断熱材の厚みまで考慮した個別の断熱性能は以下の熱伝導量(Q値)で求められる。
【熱伝導量(Q値)】
実際の断熱性能は材料の厚みを考慮して熱伝導量(Q値)より算出される。
断熱性能を算出するための基本的な方法は、熱伝導の法則を用いて熱伝導量を計算すること。
熱伝導量(Q)は以下の式で表される:Q = (熱伝導率:K値) × (断熱材の面積) × (温度差) / (厚み)
具体的な例として、熱伝導率(K値)が0.05 W/(m·K)のグラスウールを考え面積が1平方メートル、
温度差が1ケルビンの場合を想定し、厚みを変えてみよう。
例1: グラスウールの厚みが0.1メートルの場合Q = (0.05 W/(m·K)) × (1 m^2) × (1 K) / (0.1 m) = 0.5 W
例2: グラスウールの厚みが0.5メートルの場合Q = (0.05 W/(m·K)) × (1 m^2) × (1 K) / (0.5 m) = 0.1 W
厚みが異なる場合、熱伝導量が変わることがわかる。より厚い材料ほど熱伝導が抑えられ、断熱性能が向上する。
上記の式を用いて、具体的な材料や条件に合わせて計算することで、断熱性能を評価することができる。
厚くすれば厚くするほど性能値は上がる。当然のことであるが物には限度がある。
【気密性指数(C値)】
住宅や建築物の気密性能を評価するための指標。住宅個別の機密性能はC値で表され現場で測量される。
この単位は、1秒間に1平方メートルの表面から1パスカルの気圧差で通り抜ける空気の容積を示す。
低いC値ほど、より気密性が高いことを示す。単位はセンチで表される。
気圧は、大気が物体にかかる圧力を表す。1パスカル(Pa)は、1平方メートルの面積に対してかかる力が1ニュートン(N)の場合の圧力を示す。
ニュートン(N)とは物体の運動や力を測るための単位であり、ここでは物理的な力を表す指標として考えると分かり易い。1ニュートンの力とは、以下のような例で考えることができる: 1ニュートンの力= りんごの重さ: ペンを持ち上げる程度の力: 紙をめくる程度の力
C値に関して身も蓋もない答えをいうならば、1平方メートルあたりに空いている穴の大きさのことをいう。
例えばC値が1ならば1平方メートルに開いた穴のサイズ、単位はセンチ。つまり1センチの穴。
C値が0.4ならば0.4センチ(4ミリ)の穴、C値が0.6ならば0.6センチ(6ミリ)の穴の大きさ。
0.2センチの差。つまり2ミリ、めくじら立てて騒ぎ立てることはない。実はそんなに大差はない。
ここだけの本音の話。こんな小さな数値ばかりにこだわりまくって、性能競争をしたって正直しょうがない。
それよりもっと楽しい家づくりをした方がいいのでは?
この様にロジックを理解した上、頭で整理すると性能数値に踊らされなくなる。
性能競争、それは住宅会社の差別化の一つの道具でもある。