残す家と壊す家。
先日、機会があって吉村順三氏(よしむら じゅんぞう、1908年9月7日 – 1997年4月11日)が
設計した茅ヶ崎の家を見に茅ヶ崎まで行ってきた。
55年前の建築である。
建築家の堀部安嗣さんのエスコート付き。
おまけに彼のご両親の家も見せていただいた。清い家であった。
その前は隈研吾氏の建築を高知檮原まで行ってきた。こちらはなんだか縄文的。
今月は毎週のように建築を見て回っている。
建築って不思議な感情を心の中に沸き起こさせる。
さて羽田から茅ヶ崎まで電車で約一時間ちょっと。
茅ヶ崎、海の香りがするなんだか福岡に似ている。
1967年に建築された建物であるが築55年の個人宅。
一度改修工事が施されているのだが原型は忠実に残されていた。
古びているのだけれども、その古さが怖いくらい厳かである。
厳格でいて穏やか、そう表現した方がいいのかもしれない。
そこで思ったのが、壊す家と残す家。
家あまりの現代、こんなに余っているのになぜ我々は古い家を壊し新しく家を作るのか。
その解とは、
次の世代の好みに合うかどうか? 年月の試練によるところが多い。
ということで
できるならば中の間取りはシンプルにスケルトンインフィルとし
世代の好みの変化に耐えうるものとすること。長期に耐えうる空間。
決して一時の流行を模ってデザインをしないこと。長期に耐えうるデザイン。
いい建築には品がある。
次の世代にも好まれる。残される上品な家を作っていきたい。
スケルトン・インフィル住宅の定義はおよそ次のようなものとされる。
- スケルトン(構造体)の耐震性が高い
- 建物が長持ちして価値が低下しない
- 空間にゆとりがある
- 空間が整形である
- 多様な間取りが可能である
- 将来のリフォームが容易である
- 設備配管のメンテナンスが容易である
スケルトンとは柱・梁・床などの構造躯体を示し、インフィルとは間仕切り壁・仕上げ材・様々な設備の総称。スケルトンとインフィルを分離して考えることにより耐震性、耐久性のある構造体を保持しつつ、室内を作り変え何世代にも渡って建物を使うことができるという考え方である。