追憶のビラ
先日、建築マニアの友人達と
イタリア、南フランスのコートダジュール、モナコ、スペイン弾丸ツアーに出かけてきた。
イタリアではザハ・ハディド設計の近代建築など視察、ミラノのドーモ教会建築。
コートダジュール、モナコから8kmほど先にあるエズ村。
「鷲の巣村」といわれる山の頂上に張り付いたような中世の村エズ植物園を視察。
建築好きメンバーはあまり興味がないようだが植物好きの私としては玉手箱のような街。
マルセイユではコルビジェ設計による集合住宅ユニテ・ダビタシオンに泊まる。まるで大型客船。
世界遺産に泊まれるとは。
スペインではお約束のガウディー建築群、ピカソ美術館を見て周り
締めとして、バルセロナのミースファンデルローエ設計によるバルセロナ・パビリオン。
バルセナチェアーに腰をおろす。
鉄とガラスで構成され、大理石の壁を配しモダニズムの空間を実現したものとして評価されている。
さて今回の目玉がコートダジュールの海を見下ろすアイリーン・グレイのE-1027
修復に7年もの歳月がかけられた。アイリーン・グレイのVilla E-1027の修復が2021年6月完了。
1926年から1929年にかけて、恋人の建築家ジャン・バドヴィッチと建てる。設計はアイリーン
ヴィラの名前は、2人のイニシャルを組み合わせたものです。
「E」はアイリーン、アルファベットの順番によって「10」はジャンのJ、「2」はバドヴィッチのB、「7」はグレイのGを表している。
隣にル・コルビュジエの「カップ・マルタンの休暇小屋」や「ユニテ・ド・キャンピング」、隣接する「エトワール・ド・メール(ヒトデ軒)」
これらの建築群はは1年くらい前に予約が必要とのことでなかなか見ることができない建築。
アイリーンが設計して建築したものなのだが、コルビジェが嫉妬したいわく付きの建物。
真ん中に救命用の浮き輪が掲げられ客船を模しています。モダニズム建築。
目の前はコートダジュールの海。
所有欲のため、コルビジェは壁に絵を描いてしまう。
そしてピロティーの下の部屋に住み込む。壁の色はコルビジェがペイント。
歩いて数歩のところに前出の「カップ・マルタンの休暇小屋」や宿泊施設「ユニテ・ド・キャンピング」、軽い食事やお酒が飲める店「エトワール・ド・メール(ヒトデ軒)」を作ってしまい。
最後には目の前のビーチで心臓発作によつて命を落とすことになる。1965年8月27日77歳没。
アイリーン・グレイのVilla E-1027。海辺の建築はいろいろ見てきましたが
繊細でありつつも芯の強さを感じる建築でした。海辺のビラでは世界一美しい。
エメラルドの宝石のような建築でした。中のインテリアが素敵。
1926年から1929年にかけて作られた建物。とても100年前の建築とは思えません。
ベットサイドにあるガラスのテーブル。よくホームセンターなどで売っているような奴(笑)。
でも、これがオリジナル。 建物と同じくこちらもE-1027 と言います。
もちろんアイリーン・グレイのデザインというかインテリア内装もほぼ彼女のデザイン。
インテリアや壁でも、指をちょっと触れるだけでもガイドのマダムに怒られます。監視の目が怖かった。
少し上に行くとどちらかというとこちらの方が有名なのですが
コルビジェによる「カップ・マルタンの休暇小屋」
中は撮影禁止。
最小限空間に作られた週末小屋もちろんこちらも素敵な建築。
小さな窓から見えるコートダジュールの海。
確か東京にも模した建物が展示されていますが窓の外の景色が肝。
こちらは休暇小屋の隣にある小さな設計用の小屋。
晩年コルビジェはコートダジュールの海を眺めながら設計しながら暮らしていたのか
最後にはこの海で亡くなる。感慨深い思いに駆られた旅でありました。
余程、アイリーンのVilla E-1027とコートダジュールの海を愛していたのでしょう。
おまけとしてコルビジェによるモデュールの写真をつけておきます。
これを見ると彼の身長は1829mm、手の先が2260mm建築的な寸法が書かれています。
気になった方はこちらをどうぞ。